占いの達人の話 (その2)
暫くして、彼氏(恋人)ができなくて悩んでいる女が訪れた。
「あなたは、はずれたことのない占いの達人と聞いています。
ぜひ占ってもらいたいことがあります」
達人は、男の時と同じように、にっこり笑って、
「まあ、そこに座って、お茶でもどうかな」
と言ってお茶を差し出した。
女は、ゆっくりと座り、達人の入れたお茶を飲んだ。
暫く沈黙が続いた後、女が話し出した。
「私は、なかなか彼氏ができなくて悩んでいます。私には彼氏ができるか占ってほしいのです」
達人は、その言葉を無視するように言った。
「そうだ、昨日もらった美味しいまんじゅうがある。ひとつどうかな」
差し出されたまんじゅうを女は「おいしい」と言って食べた。
「それは、東の町にある銘菓店のものらしくな…」
そんなたわいもない話から始まり、会話が続く。
女も饒舌(じょうぜつ)になり、色んなことを達人に話した。
時が流れ、夕暮れとなってきた。
「もうこんな時間。そろそろ私帰りますね」
「占いは、どうする?」
女性は微笑んだ。
「彼氏ができるとかできないとか、何だかどうでもよくなってしまいました」
達人は、にっこりとした。
「はっはっは。大丈夫、近くお主には素敵な彼氏ができる」
この女性に彼氏はできたのか?
勿論、達人の言った通り、すぐにできたそうである。
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