占いの達人の話 (その1)
その昔、占いの達人がいた。
ある日、どうしても彼女(恋人)ができない男が、今の自分に彼女ができるか
占ってもらおうと、この達人の下を訪れた。
「あなたは、はずれたことのない占いの達人と聞く。そこで私はここに来た。
ぜひ占ってもらいたいことがある」
白髪でヒゲをはやした達人は、にっこり笑って、
「まあ、そこに座って、お茶でもどうかな」
と言ってお茶を差し出した。
「いや、それよりも早く占ってほしい。私に彼女ができるかどうかだ」
達人は、また笑みを浮かべて、すぐに答えた。
「彼女は、できないの」
「何?、あなたの意見をきいているではない。占いをやってほしいのだ。
あなたはどんな占いをするのだ」
「占い?占いなんてとうの昔に止めてしまったの」
「何を言っているか?あなたは占い師ではないのか?バカにしないでほしい」
すると、達人は大笑いした。
「ならば、お主の期待する占いの結果とやらを言おう。お主には彼女はできない」
「なっなに〜。いいかげんにしろ。根拠はなんだ!どんな占いに基づいてそんなこと言っているのか!
時間をかけて、わざわざここまで来たというのに」
男は、立腹してその場を立ち去った。
さてさて、この男には達人の言う通り、彼女はできなかった。
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